妊娠中の血圧管理はとても大切ですが「妊娠高血圧症候群」という言葉を聞いて、不安を感じる方も多いのではないでしょうか?
「妊娠高血圧症候群っていつから起こるの?」「症状はどんなもの?」「予防する方法はあるの?」

そんな疑問や不安を解決できるよう、助産師がわかりやすく解説します。
妊娠高血圧症候群とは?いつから起こる?

妊娠高血圧症候群(妊娠中の高血圧)は、妊娠20週以降分娩後12週までの期間に高血圧(収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上)が見られる病気です。(以前は「妊娠中毒症」とも呼ばれていました)
特に妊娠後期(28週以降)に発症しやすく、むくみや蛋白尿を伴うことが特徴です。

重症化すると母体や赤ちゃんに大きな影響を及ぼす可能性があるため、早期発見・管理がとても重要になります。
妊娠高血圧症候群の原因は?

妊娠高血圧症候群は妊娠による体の変化が関係していると考えられています。
主な要因として、以下のものが挙げられます。
- 血管の異常
- 生活習慣(食事・運動不足)
- 遺伝的要因
- 多胎妊娠や高齢妊娠
- 肥満(BMI25以上)
①血管の異常

妊娠すると、胎盤を通じて赤ちゃんに十分な酸素や栄養を届けるために、母体の血管が大きく変化します。
また胎盤の血流が悪くなることで、赤ちゃんの発育にも影響を及ぼす可能性があります。
②生活習慣(食事・運動不足)

日常の食生活や運動習慣は、妊娠高血圧症候群のリスクに大きく関わります。
また、妊娠中は運動不足になりがちですが、適度な運動をしないと血流が悪化し、高血圧のリスクが高まります。

さらに急激な体重増加も血圧に影響を及ぼすため、医師や助産師と相談しながら食事と運動のバランスを整えることが重要です。
③遺伝的要因

妊娠高血圧症候群には遺伝的な要素も関係していると考えられています。
また高血圧の家族歴がある場合も注意が必要です。

ただし遺伝的な要因があるからといって必ず発症するわけではなく、生活習慣の改善によってリスクを下げることが可能です。
④多胎妊娠や高齢妊娠

双子や三つ子を妊娠している場合、母体の血液量や心臓の負担が通常より大きくなるため、血圧が上がりやすくなります。
また、高齢妊娠(35歳以上)では血管の弾力性が低下しやすいため、血圧の調整が難しくなり、妊娠高血圧症候群のリスクが上がることが知られています。

年齢や妊娠の状況に応じて、定期的な血圧チェックや生活習慣の見直しを行うことが大切です。
⑤ 肥満(BMI25以上)

妊娠前の体重が多い場合や、妊娠中に過度な体重増加があると、妊娠高血圧症候群のリスクが高まることがわかっています。
肥満があると、インスリン抵抗性(血糖を調整するホルモンの働きが低下する状態)が生じやすくなり、それが血圧上昇の原因になることも。

適正な体重管理を意識し、バランスの取れた食事と適度な運動を心がけることが重要です。
妊娠高血圧症候群の症状

妊娠高血圧症候群は、初期には自覚症状がほとんどないため、定期的な妊婦健診がとても重要になってきます。
症状が進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
妊娠高血圧症候群の症状例
- むくみ(浮腫):足や手、顔がパンパンに腫れることがあります。
- 頭痛・めまい:血圧が高くなることで、頭痛やめまいを感じることがあります。
- 視界がぼやける・チカチカする:目の異常を感じたら注意が必要です。
- 体重の急激な増加:短期間で急に体重が増える場合、むくみが進行している可能性があります。

重症化すると、けいれん発作(子癇)や胎盤早期剥離など、母子ともに危険な状態になることもあるため、異変を感じたらすぐに医師に相談しましょう。
妊娠高血圧症候群の予防法はある?

妊娠高血圧症候群を100%防ぐ方法はありませんが、リスクを下げるためにできることはあります。
- 塩分を控えめにする
- 適度な運動を取り入れる
- 体重管理をする
- ストレスをためない
塩分を控えめにする

塩分を摂りすぎると血圧が上がりやすくなり、妊娠高血圧症候群のリスクを高めます。
特に加工食品や外食には塩分が多く含まれているため、できるだけ手作りの食事を心がけることが大切です。
塩分を減らす工夫として、レモンや酢、スパイスを活用すると、薄味でも満足感を得やすくなります。

またカリウムを多く含む野菜や果物(バナナ、ほうれん草、トマトなど)を摂ることで、体内の塩分バランスを調整しやすくなりますよ。
適度な運動を取り入れる

妊娠中は運動不足になりがちですが、適度に体を動かすことで血流が改善し、血圧の安定につながります。

特におすすめなのは、ウォーキングやマタニティヨガ、ストレッチなどの軽い運動です!
1日20〜30分程度のウォーキングを取り入れるだけでも、血行が良くなり、高血圧の予防につながります。
水中ウォーキングも関節に負担をかけずに運動できるため、妊婦さんに適した運動のひとつです。
体重管理をする

妊娠中の急激な体重増加は、血圧の上昇や妊娠糖尿病のリスクを高める要因になります。
適正な体重増加量は妊娠前の体型によりますが、一般的には妊娠全期間で7〜12kg程度が目安とされています。
特に妊娠後期に体重が急増すると血圧が上がりやすくなるため、バランスの良い食事と適度な運動を組み合わせて、無理のない体重管理を行うことが大切です。

食事は糖質や脂質の摂りすぎに注意し、野菜やたんぱく質をしっかり摂るよう心がけましょう。

ストレスをためない

ストレスは血圧を上げる要因のひとつです。
妊娠中はホルモンバランスの変化によって気分が不安定になりやすく、ストレスを感じることが多くなります。
そのため、リラックスできる時間を意識的に作ることが大切です。

好きな音楽を聴く、ゆっくりお風呂に入る、アロマテラピーを楽しむなど、自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。

また、家族や友人、助産師と話すことで不安を和らげることもできます。
睡眠不足もストレスの原因になるため、質の良い睡眠をとることを心がけることも大切です。
妊娠高血圧症候群になったらどうする?
もし妊娠高血圧症候群と診断された場合、重症度によって対応が変わります。
軽症の場合 | 食事管理や塩分制限、運動の見直しで血圧をコントロールします。 |
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中等症〜重症の場合 | 自宅安静や入院管理が必要になることがあります。 |
最重症の場合 | 母体と赤ちゃんの安全のため、早めの分娩が検討されることも。 |

定期的な健診で血圧を測り、異常が見つかった場合は医師の指示に従いましょう。
さいごに。助産師からのメッセージ

妊娠高血圧症候群は、症状が進行するまで自覚しにくい病気です。
だからこそ定期的な健診を欠かさず、普段から食生活や体調の変化に気をつけることが大切になります!
「高血圧」と聞くと怖く感じるかもしれませんが、早めに気づき、適切なケアをすることで、母子ともに安全に出産を迎えることができます。
もし「むくみがひどい」「頭痛が続く」「体重が急に増えた」など気になる症状があれば、迷わず医師や助産師に相談してくださいね。

妊娠中の体は大きく変化しますが、無理をせず、できることを少しずつ取り入れながら、健康的なマタニティライフを送りましょう!
